秋の句

秋の俳句一覧

・炎天に乗っ取られてる三輪車

来た道の戻れぬままの萩の道

・菊咲くや私の想ひとおなじ色

・カメラ持つ眼に届く雉の声


・語りたき言葉を逃し盆の月

・旬の音立てゝ転がる大茄子

・突つかれし蟹の子洞を落ちゆけり

・立ち止まる理由はいつも百日紅

・廃屋を労わるやうに木槿咲く


・蜩に背を押されてる帰り道

・亡母が居るごとく咲ひてる花八手

・捥(も)ぎ立ての桃のやうなる言葉飛び

・落葉巻ひて北風果てなむ野辺の道


あてもなく歩くつもりの菊の畑

・風死すや腸引き出して濯ぎたし

・短日の鳥をあつめて暮れにけり

・中腰や遊びがてらの障子貼り

・ゆきさきの定まらぬまま落葉逝く


・一仏に一香づつや柿の里

・柵の無き道沿ひの柿たわわなる

・名物の芋の揃ひて芋煮会

・深き野や飛蝗と擦れ違っただけ

・梅雨の玉乗せて花芯の命濃し(夏の句)


・鶏頭に固き契りの色を見る

・愛犬をお供に連れて星月夜

・幾度の自転車を漕ぐからす瓜

・毬(いが)踏みて
よじり出したる栗の数


・菊の香に背中押されて入院す

・消へさうな秋灯頼る農の道

・通り掛かりの舟入れて薄撮る

・台風に威されてる白い傘


・毛虫ゆく自信有り気にドテドテと

・波音を単調にして浜の秋

     ・夏草を離さぬ子等や文具店(夏の句)

   ・夏蝶に越されては追ふ畔田道(夏の句)

・足首のみ浸しをる浜の秋

・ふるさとの土落とされて芋届く


・蓑虫の蓑出る覚悟定まらず

・足首のぐらつくあたりへ秋の声

・留守電を押し忘れ来し大花野

・引き潮に浜秋の貝消されゆく