川柳

湯上りの母へ少年梨を剝く     まゆ美

一歩前に出ると風向きまで変わる  恵美子

お父さん給油と老後セルフでね   かいじゅう

いつ死ぬか分かれば貯金使うのに  遥

字を忘れ考えてるうち文忘れ    好


なぜ消える眼鏡と鍵のミステリー  悦子

取ったのに家族会議で免停に     〇〇

歯磨きをいやがる孫に入れ歯見せ  ユミコ

フル回転しても埋まらぬ答案紙   光生

骨のある人だが低い骨密度     こでまり


遺言書「すべて妻」と妻の文字   りく

煩悩をうすめる朝の経を読む    光石

早送りしたい女房の愚痴小言    清一郎

犯人を忘れ2度読むミステリー   幸子

ロボットと二人暮らしも視野にある  かおる


充分に眠った朝が透き通る      柊

正月にやたらと餅を食わす妻      昇

誕生日ローソク吹いて立ちくらみ   祐史

長生きの秘訣を聞いてもすぐ忘れ   久光

渋滞の話からする旅土産       ちはる


立つまでは何をするのか覚えてた   明

団欒の中心にいる母の笑み      亮介

定年で田舎戻ればまだ若手      文次

歳重ねもう喰べられぬ豆の数     澄子

お釣りだけ確かめ品物置いてくる   よったん


カード増え暗証番号裏に書き     るみこ

健康な声がカラオケに 行きたがり   満舟

こだわりが無いから会話軽く出来   柊

かけ声をかけると楽に立ち上がれ   京介

子は正論俺は持論で食い下がる    博


金が要る息子の声だが電話切る    正

全容を見せたる滝の響きけり     幸平

気まぐれな風紋風は芸術家      〇〇

数々のロマン知ってる無人駅     大岳

味気ない顔茶柱に無関心       紺矢


腕よりも話し上手で選ぶ医者     三郎

お若いと言われ帽子を脱ぎそびれ   信

アイディアはたっぷりあるが金が無い 貴美雄

今更と言うが今からとも言える   〇〇

お迎えは何時でも良いが今日は嫌   義雄


「父の日」や目に付く石を蹴ってみる  望

「大吉」と出るまで駒を振り回し    望

種蒔くや西日頼りの父祖の畑      望

過去形の会話が弾む日向ぼこ はる

ごきぶりも出ないようではと妻の云ふ  〇〇


結局はサンダルのまま茄子を植え  望

突然に医者がやさしくなる不安  翠